炎舞

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しかし今日まで、詩はおろか、手記のようなものさえ書いたことがない。人に劣っている能力を、他の能力で補填して、それで以って人に抜きんでようなどという衝動が、私には欠けていたのである。別の言い方をすれば、私は、芸術家たるには傲慢すぎた。暴君や大芸術家たらんとする夢は夢のままで、実際に着手して、何かをやり遂げようという気持ちがまるでなかった。人に理解されないということが唯一の矜りになっていたから、ものごとを理解させようとする、表現の衝動に見舞われなかった。人の目に見えるようなものは、自分には宿命的に与えられないのだと思った、孤独はどんどん肥った、まるで豚のように。

 (金閣寺 三島由紀夫

「炎上」も良い、市川崑 監督 市川 雷蔵 主演、カッコイイ。

致命的に好きな作品で、何度読み返したかわからない。

最後に「金閣寺」の表紙になっている速水御舟の「炎舞」を見て終わりたい。