高い塔の男


第二次世界大戦がドイツと日本が勝利したと仮定した世界「彼らは歴史の犠牲者ではなく、歴史の手先になりたいのだ、彼らは自分の力を神の力になぞらえ、自分たちを神に似た存在と考えている、それが彼らの根本的な狂気だ・・・彼らが理解出来ないもの、それは人間の無力さだ」ナチスの優性思想。

「事実、古美術品が本物かどうかという疑問など、一度も浮かんだことがないらしい。たぶん、いつかは彼らも疑いはじめるかもしれない・・・そのとき、化けの皮は剥げ、マーケットは崩壊し、本物さえ見向きもされないだろう。グレシャムの法則ー悪貨は良貨を駆逐するのだ。」日本の収集家への皮肉。

「きっと”絞刑吏(ハイドリヒのあだ名)が選ばれるな」

「どれだけうわべは上品そうに見えても、あらゆる人間の中にひそむ下劣な欲望ー小説はそこへ働きかける、そう、小説家は人間性というものを知っている。人間がどれだけ無価値なものか、どれだけ生殖器に支配され、臆病心に揺り動かされ、貪欲のためにあらゆる大義を裏切るかを知っているー小説家はドラムを叩くだけで良い。たちまち反応がある。そして、もちろん、自分の生み出した効果を見て、こっそり笑いをこらえているだろう。見ろ、やつがわたしの感情をー知性ではなく感情を-どれほどもてあそんだか、とライスは考えた。そして、当然、やつはその小説で儲けるー大金が入ってくるーきっとだれかがこの悪党をそそのかしたのだ、なにを書けと指図したんだ。金が入るとわかれば、やつらはどんなものでも書く。どんな嘘っぱちでも物語る。そして大衆は、目の前にさし出された毒のある混ぜ物を真剣に受け取る。」