三島も文学賞有力候補に、67年 ノーベル賞選考

三島も文学賞有力候補に、67年
ノーベル賞選考

 

2018/1/3 09:02
©一般社団法人共同通信

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 【ストックホルム共同】小説家の川端康成ノーベル文学賞を受賞する前年の1967年の同賞選考で、川端のほか、小説家の三島由紀夫も有力候補として名前が挙がっていたことが判明した。選考主体のスウェーデン・アカデミーが共同通信の請求を受け、2日に資料を開示した。
 67年の文学賞候補総数70人のうち、有力候補は7人。選考委員会のエステリング委員長(当時)は、三島を「多才な作家」と高く評価した。しかし、川端の存在を理由に最終候補からは漏れた。
 委員長は三島の小説「午後の曳航」を挙げ「成熟味を増している」とたたえた。

 

うわー、単純に嬉しいな!

 

「楠はこの季節に甚だ似合はしからぬ女を同道してゐた。彼はこんなお茶っぴい芸妓はきらひであった。ただ彼女が郁子とちっとも似てゐないといふ、それだけの理由で満更でもない気がするのであった。すべてが郁子への当てつけ,女に限らず、彼の生活のすべてが郁子への当てつけになった。彼がこのごろわざと女を連れて人目に立つところへ押し出すのだったが、それはひとつには、郁子にぱったり逢ひはしないかという期待と危惧のためである。」

 

『あれはまるで象牙の人形のやうな女だ。ひょっとすると、不感症ではないかしらん。俺は郁子からやうやく十日に一ぺん逢ふ許可を得て、堅人の亭主の帰宅の時間にいつも間に合ふやうに帰してやる。そのたびに接吻もする。しかしその他のどんな穏便な愛撫をも彼女は頑なに許さない。・・・・・・不感症どころか、鋭敏すぎる機械の持主の護身の本能ではあるまいか。接吻・・・さうだ、俺にとってはその度毎に胸の焦げるやうな思ひのする接吻も、しょっちゅう食欲のない女が冷淡に皿をしりぞけるやうに、冷静な彼女の手が、俺の體を、(まるでお皿みたいに!)押しのけるところで終るのだ。俺のみっともないことと云ったら、お預けを喰った番犬のやうだ。彼女つひぞ俺を愛してゐると言ったことがない。ところが俺のどうにもならない弱味は、女の口から「愛してゐる」といふ言質を得ないと、どうしても勇気をふるひおこすきっかけができないことだ。俺の中の見栄坊が、後難を憚らせるのだ。」

「純白の夜・三島由紀夫